コツをつかんだら楽しくなってきた

 作業を始めると、あれよあれよという間にのめり込んでいく感じ。ホンネとしては、「ファイト一発!」で思い切りひっぱり出したいのだけど、そんなコトをしたら後が大変になっちゃう。
 実は、クルマの鋼板ってとても弱い性質のもの。強い力で押したり引いたりすると、完全に伸びきってしまい、修復不可能になってしまうのだ。
 デントの作業を拝見するとよくわかる。テコの原理を応用し、長い棒を裏側からあてがい、何度も何度も押し戻しの作業を繰り返す。もちろん、微弱な力で腫れ物にタッチするように優しい感覚で作業する。
 「ひっぱり君」の作業もまさしくそれ。小さな力で何度も繰り返すのが正解だ。
 また、お断りしておきたいのだけど、「ひっぱり君」は何でも直せる万能ツールではないので念のため。
 例えば、大きすぎる凹み、刃物で傷ついたような凹み、プレスライン、カーブのきついところなどは作業できない。
 また、市販スプレーで補修した部分やパテで埋めた部分なども同様。ムリに引き出すと、塗料やパテが剥がれてしまうことがある。
 詳しくはデントリペア・中野のホームページ(こちら)を参照にして欲しい。

引っ張りすぎて出すぎちゃった時の対処法

 プロはポンチングツール(押し戻すツール)を使うが、意外なことに割り箸でも代用できる。ボディが傷まないよう、割り箸の先はフラットな面に加工することが大切。また、円錐状の木材を適度な大きさにカットして応用してもいい

「ほどほどこのくらいで止めておきたい」と思ったら、タブに斜めの力をかけると、外れるはず。接着剤はヨコ方向の力にめっぽう弱いのだ

割り箸を4〜5センチに削り、先をフラットに加工。ハンマーで小さく何度も叩くと押し戻し効果が生まれる。作業後は極細コンパウンドで磨く

凹凸具合を判断するには、定規や本をあてがうとよく分かる。追加作業の必要なところは、インクペンなどでマークするとわかりやすい

 

ヘコミ直しハウマッチ!板金と比較すると?

 鈑金の世界に殴り込みをかけた、新登場の「ひっぱり君」。さらに、ここ4〜5年はデントツールによる補修市場にも拡販しており、ユーザーにとっては判断が難しい。しかし、デントツールや「ひっぱり君」は作業できないボディ領域もあり、万能とは言えないのがネック。とはいえ、「ひっぱり君」はその安さが魅力。ベースキットで6800円というプライスは、仮に直せなかったにしても、あきらめのつく投資。しかも、これから先、また使う機会もあるはずだ。

※作業範囲が1〜2センチの場合

 

ひっぱり君  デント  板 金 



作業範囲にもよるが、わずかな範囲なら4、5回の作業で終了するはず。乾燥時間も含めて30分前後。ただし、引っ張りすぎて押し戻す作業もあるため、そのあたりは経験値がものをいう 箇所にもよるが1〜2センチなら30〜60分程度。範囲が広がると時間はかかる。裏側からテコの原理で押し戻すため、小さな力で何回も作業する。広範囲の場合は鈑金のほうが安いことも。 削ってパテ埋め、乾燥、塗装、磨き上げといった一連の工程があるため、2〜3日は必要。ただし、最近は数時間で仕上がるフランチャイズシステムの補修ガレージもあり。こちらは早い


ベースキットなら6800円のみ。スライディングハンマー/ビデオ付きは9800円。失敗したとしても安い投資だろう。100Vの家庭用電源が必要で、日陰で施行するのがお約束 デントリペア・中野にうかがうと小さな凹み修復は5000円から。ちなみに1〜2センチの凹み修復工賃を、数社の業者へたずねると5000〜1万5000円といったところ 通常、1〜2センチの凹みで3〜5万円くらい。ガレージによって工賃に差がある。リーズナブルなガレージでは2〜3万円程度ですむところもある。見積もりは数社から取ることが肝心




フェンダーやボンネットなど。できない部分はプレスラインやカーブのきついところ、補修済みの箇所でパテ埋めされた部分など。ペイントの剥がれた箇所は直せない 専用ツールは意外なところへも入っていく。ドアのフチなどはドアのサイドに穴を開けてツールを入れることも可能。「ひっぱり君」に比べて、対処箇所はかなり広範囲となる はっきりいって直せない箇所はほとんどない。パテ埋めして塗装する工程のため、ピラーだろうがプレスラインだろうが、問題なく施工できる。ただし、多少の色ムラが残るケースもあり

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